📱 家族が亡くなった後、スマートフォンの中にある有料契約が見つからず、困るケースがあります。
動画配信、音楽、セキュリティソフトなどのサブスクリプション(サブスク)は、本人が亡くなっても請求が自動的に止まるとは限りません。
さらに、ネット銀行や証券口座、コード決済サービスに残された資産を、家族が把握できない問題も起きています。
🔍 こうしたデジタル遺品の問題を防ぐには、契約サービスの一覧を作り、解約先と相続手続きの方法を分かるようにしておくことが役立ちます。
この記事では、国民生活センターが公表した相談事例をもとに、デジタル遺品で損をしやすい理由と、家族が困らないための準備を解説します。
個別の相続や契約に関する法的・税務上の判断は、関係する事業者や適切な専門家に確認してください。
記事のポイント
- デジタル遺品で起こる問題・サブスクの継続請求・実際のトラブル事例
- 故人のサブスク契約の調べ方・解約手続き・不要な請求を防ぐ方法
- ネット銀行・証券口座・暗号資産の確認方法と相続手続きの注意点
- スマホのロック対策・パスワードの安全な管理・生前にできるデジタル終活
デジタル遺品で起こる問題

死亡後も続くサブスクの請求
💳 デジタル遺品で見落としやすいのが、毎月または毎年料金が発生するサブスク契約です。
契約内容によっては、利用者が亡くなっても自動更新が続き、解約するまで請求が発生します。
特に注意したいのは、次のようなサービスです。
- 🎬 動画配信サービスの月額料金
- 🎵 音楽配信サービスの利用料金
- ☁️ クラウドストレージの保存料金
- 🛡️ セキュリティソフトの年間契約
- 📚 電子書籍やニュースサイトの有料会員
- 💻 ソフトウェアやAIサービスの定期契約
- 🎮 オンラインゲームの有料会員
- 📦 通販サイトの有料会員サービス
たとえば、月額1,000円の契約が1年間続けば、合計12,000円になります。
複数のサブスクを利用していた場合、不要になった料金が積み重なることも考えられます。
ただし、死亡による契約終了の扱いは、サービスや利用規約によって異なります。
死亡後の請求がすべて正当とは限らないため、契約の終了日と請求の根拠を確認しましょう。
ネット上の資産が見つからない
🏦 デジタル遺品の問題は、サブスクだけではありません。
インターネット上で管理されている金融資産は、紙の通帳や取引報告書が自宅にないこともあります。
確認しておきたい金融サービスには、次のようなものがあります。
- 🏦 インターネット銀行の預金口座
- 📈 ネット証券の株式や投資信託
- 💰 暗号資産交換業者の口座
- 📱 コード決済サービスの残高
- 💳 電子マネーやプリペイド式決済サービス
- 💻 オンラインで契約した保険や金融商品
- 📊 自動積立や定期購入の契約
これらの存在を家族が知らなければ、相続財産の調査が難しくなります。
特に暗号資産は、取引所に預けているものと、自分で秘密鍵を管理しているものでは確認方法が異なります。
💡 財産的価値のあるデジタル資産は、相続税の対象になる場合もあります。
相続税の申告が必要かどうかは、ほかの財産や債務も含めて判断します。
スマホのロックが解除できない
🔐 故人のスマートフォンを開けないために、契約先を確認できないという問題もあります。
現在のスマートフォンには、第三者による不正利用を防ぐため、強いセキュリティ機能が搭載されています。
そのため、家族だからといって、携帯電話会社やメーカーが画面ロックを解除できるとは限りません。
確認できなくなる情報の例は、次のとおりです。
- 📩 契約先から届いたメール
- 📱 インストールされているアプリ
- 💳 アプリ内の定期購入情報
- 🏦 金融サービスの契約先
- 🖼️ 写真や動画などの思い出
- 📂 スマホ内に保存された重要書類
なお、画面ロックの解除と、クラウド上のアカウントへのアクセスは別の手続きです。
データを残したい場合は、内容を確認しないまま端末を初期化することを避け、メーカーの公式サポートに確認してください。
実際にあったデジタル遺品の相談

ネット銀行が確認できない事例
📱 国民生活センターは、2024年11月20日にデジタル終活に関する相談事例を公表しました。
その一つが、亡くなった兄のネット銀行口座を確認しようとした家族の相談です。
相談者は、携帯電話会社の店舗でスマートフォンの画面ロック解除を依頼しました。
しかし、初期化はできてもロックの解除はできないと案内され、口座の確認ができずに困ったという内容でした。
この事例から分かる注意点は、次のとおりです。
- 🔍 銀行名が分からないと問い合わせ先も特定しにくい
- 📱 スマホのロック解除ができるとは限らない
- 📄 通帳がない口座は家族が気づきにくい
- 🏦 口座を発見しても正式な相続手続きが必要
口座を持っていることさえ分かれば、相続人などが金融機関に連絡し、必要な書類や手続きを確認できます。
したがって、生前に銀行名と連絡先を記録しておくことが有効な備えになります。
サブスクの解約に困った事例
💳 国民生活センターが2025年2月20日に公表した見守り情報では、80歳代の相談者の事例も紹介されています。
相談者は夫の死亡後に携帯電話を解約しました。
ところが、その後になって、夫が契約していたセキュリティソフトのサブスクが残っていると分かりました。
事業者へ連絡したところ、すぐに解約するにはIDとパスワードが必要だと案内され、手続きに困ったという内容です。
この事例で確認したい点は、次のとおりです。
- 📱 携帯電話を解約しても別のサブスクは残り得る
- 🔑 IDやパスワードが不明だと解約に時間がかかる
- 📄 事業者によっては別の本人確認手続きが必要
- 💰 解約完了までの請求状況を確認する必要がある
携帯電話の契約と、スマートフォンで購入した有料サービスの契約は同じではありません。
参考:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」
死亡後のサブスク解約方法

請求明細から契約先を探す
🔍 家族が亡くなった後、サブスクの契約先が分からないときは、支払いの記録から調べる方法があります。
相続人など、適切な権限を持つ人が確認できる範囲で、次の資料を整理してみましょう。
- 💳 クレジットカードの利用明細
- 🏦 銀行口座の引き落とし履歴
- 📄 郵送されている利用明細や請求書
- 📩 正当に確認できるメールの契約通知
- 🧾 保管されている領収書
- 📱 生前に作成された契約サービス一覧
特に、毎月同じ金額や、毎年同じ時期に請求される支払いは確認の手がかりになります。
ただし、カード明細に表示される請求元と、実際に利用しているサービスの名称が異なる場合もあります。
また、AppleやGoogleなどを経由した課金と、サービス提供会社との直接契約は区別が必要です。
契約先へ死亡と解約を連絡する
📞 契約先が判明したら、公式サイトの問い合わせ窓口で、契約者が死亡した場合の解約方法を確認しましょう。
サブスクの解約には、本人のアカウントから操作する方法だけでなく、遺族向けの手続きが用意されているサービスもあります。
問い合わせ時には、次の内容を整理すると進めやすくなります。
- 📄 契約者の氏名と登録情報
- 📩 登録されているメールアドレス
- 💳 請求元と利用明細の情報
- 📅 契約者の死亡日
- 📑 求められる死亡確認書類や続柄確認書類
- 💰 解約までの料金と返金の扱い
- 📝 解約の受付日と完了予定日
たとえばNetflixは、亡くなった会員のアカウントについて、家族などが代理で解約する方法を公式に案内しています。
ログインできない場合にも、登録情報や支払い情報を用意して問い合わせる方法があります。
参考:Netflix「亡くなられたNetflixメンバーのアカウントをキャンセルする方法」
アプリの削除だけでは解約できない
⚠️ サブスクで間違えやすいのが、スマートフォンからアプリを削除すれば料金が止まるという思い込みです。
AppleとGoogleは、アプリを削除しても、それだけでは有料の定期購入が解約されないと案内しています。
契約を確認する場合は、次の違いを把握しておきましょう。
- 📱 アプリの削除は端末からアプリを取り除く操作
- 💳 サブスク解約は有料契約の更新を止める手続き
- 🛒 App Storeの課金はApple側の購入情報を確認
- ▶️ Google Playの課金はGoogle側の定期購入情報を確認
- 🌐 事業者との直接契約は事業者側の解約方法を確認
- 📄 解約後は終了日と請求履歴を確認
なお、これらは通常の定期購入の管理方法です。
契約者が死亡してログインできない場合は、各社の正式な遺族向け手続きやサポートを利用してください。
参考:Appleサポート「Appleのサブスクリプションを解約する」
参考:Google Playヘルプ「定期購入の解約、一時停止、変更」
携帯電話の解約前に確認する
📱 故人の携帯電話を早く解約したいと考える家族もいるでしょう。
ただし、電話番号や端末が、ほかのサービスの登録情報を確認する手がかりになる場合があります。
解約前には、次の点を確認すると整理しやすくなります。
- 📩 契約先の連絡に必要なメールアドレス
- 📲 SMS認証を利用しているサービス
- ☁️ 写真や書類の保存先
- 💳 携帯料金と一緒に請求されるサービス
- 📞 携帯電話会社が案内する死亡時の解約手続き
- 💰 回線を維持する場合にかかる料金
一方で、携帯回線を維持すればすべての手続きができるわけではありません。
費用や情報保護にも配慮し、何を確認するために回線が必要なのかを整理して判断してください。
ネット銀行や証券口座の相続

口座の存在を確認する
🏦 故人がネット銀行を利用していた場合は、銀行名が分かるだけでも相続手続きに進みやすくなります。
例えば楽天銀行では、口座名義人が亡くなった場合、相続人などから連絡を受けた後に、必要書類を案内する仕組みがあります。
一般的な確認の流れは、次のとおりです。
- 📄 銀行名や証券会社名を確認する
- 📞 各金融機関の相続窓口へ問い合わせる
- 👤 相続人などの立場を確認する書類を用意する
- 📑 金融機関が指定する相続関係書類を提出する
- 💰 残高や取引状況を確認する
- 🏦 必要な相続手続きを進める
必要書類は、遺言書の有無や相続関係、金融機関の取扱いによって異なります。
勝手なログインや売却に注意
⚠️ 故人のIDやパスワードが分かっても、家族が本人になり代わって金融取引をしてよいとは限りません。
相続財産の確認と、財産を売却・移動することは別の行為です。
特に次のような操作には注意が必要です。
- 💰 故人の口座から預金を引き出す
- 📈 故人名義の証券口座で株式を売却する
- 💳 コード決済の残高を家族へ送金する
- 🪙 暗号資産を別のウォレットへ移動する
- 🔐 故人の認証情報を利用して本人として取引する
これらの行為は、利用規約だけでなく、相続人間の権利関係や相続放棄の判断に影響する場合があります。
資産を見つけたら、処分を急がず、金融機関や関係する事業者の正式な手続きから確認しましょう。
コード決済の残高も調べる
💳 PayPayなどのコード決済サービスにも、故人が残高を保有している場合があります。
ただし、チャージした残高、ポイント、商品券などは、それぞれ利用条件や承継の扱いが異なります。
確認したいのは、次の項目です。
- 📱 利用していたコード決済サービスの名称
- 💰 残高の種類と金額
- 🎁 ポイントや商品券の取扱い
- 📄 死亡時の手続き方法
- 💳 払い戻しの対象と手数料
- 👤 手続きできる相続人等の範囲
例えばPayPayは、残高の相続などに関する取扱いを利用規約で定めています。
アカウントそのものを家族が引き継げるとは限らないため、残高の種類と最新の利用規約を区別して確認してください。
デジタル終活で準備すること

契約サービス一覧を作成する
📝 デジタル遺品の問題を減らす第一歩は、現在利用しているサービスを一覧にすることです。
すべての内容を一度に整理する必要はありません。
まずは、お金の支払いが発生しているものや、資産が残っているサービスから始めてみましょう。
一覧に記録しておきたい項目は、次のとおりです。
- 📱 サービス名と運営会社
- 📩 登録メールアドレス
- 🔑 ログインIDなどの識別情報
- 💳 月額・年額料金と支払い方法
- 📅 契約更新日
- 🏦 金融口座の金融機関名や支店名
- 📞 死亡時の問い合わせ窓口
- 📄 契約書や重要書類の保管場所
- 👤 緊急時に確認を依頼したい人
この段階では、暗証番号やパスワードを一覧にまとめて書く必要はありません。
契約の存在を知らせる一覧と、秘密情報の保管場所を分ける方法なら、情報漏えいの危険を抑えながら準備できます。
スマホのパスワードを安全に保管
🔐 デジタル終活では、必要な情報を引き継ぐ準備と、個人情報を保護することの両立が求められます。
国民生活センターは、スマートフォンのロック解除に備える方法として、パスワードを記録した紙を修正テープなどで隠して保管する「スマホのスペアキー」を紹介しています。
実際に準備する場合は、次の点を考えてみましょう。
- 🔑 スマホの画面ロックを解除する方法を整理する
- 📄 秘密情報は第三者に見られにくい状態で保管する
- 🔒 必要に応じて封筒や施錠できる場所を利用する
- 👤 信頼できる人に保管場所を伝える
- 📝 パスワードを変更したときは記録も更新する
- ⚠️ ネット銀行などの認証情報は各社の規約も確認する
- 🛡️ 安全性を確認できない保管サービスへの登録を避ける
パスワードを家族に知らせることと、亡くなった後に家族がそのアカウントを操作する権限を持つことは同じではありません。
金融資産や重要な個人情報は、正規の相続手続きや事業者の指定する方法で取り扱うことが基本です。
Appleの故人アカウント管理連絡先
🍎 Appleには、利用者が生前に、自分の死亡後にデータへアクセスできる人を指定する「故人アカウント管理連絡先」という機能があります。
指定された人は、所定の条件を満たすことで、Apple Accountに保管された一部のデータへのアクセスを申請できます。
利用前に確認したい点は、次のとおりです。
- 👤 生前に信頼できる連絡先を指定する
- 🔑 指定時に発行されるアクセスキーを安全に保管する
- 📄 死亡の事実を証明する書類が必要になる
- 🖼️ 写真やファイルなど、アクセスできるデータの範囲を確認する
- 🔐 パスワードやパスキーなどは引き継げない
- 💳 サブスク契約の管理や解約は別に確認する
Appleによると、故人アカウント管理連絡先になっても、購入済みのコンテンツやサブスクリプション、iCloudキーチェーンに保存されたパスワードなどにはアクセスできません。
また、この仕組みはiPhone本体の画面ロックを自由に解除できる制度ではありません。
参考:Appleサポート「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」
Googleのアカウント無効化管理
🔍 Googleには、一定期間アカウントが利用されなかった場合に備える「アカウント無効化管理ツール」があります。
この機能では、利用者が事前に指定した相手へ通知したり、一部のデータを共有したりできます。
確認できる主な機能は、次のとおりです。
- 📩 連絡を受け取る人を事前に指定する
- 📅 アカウントが利用されなくなった期間に応じて動作する
- 📂 共有するデータの種類を選択する
- 👤 データを受け取る相手を指定する
- 🗑️ アカウント削除に関する設定を行う
これは死亡したことを自動判定する機能ではなく、一定期間利用されていない状態を基準に動作するものです。
また、設定していなかった場合でも、Googleは故人のアカウントに関する申請窓口を案内しています。
ただし、家族からの申請が認められるか、どのデータが提供されるかは審査や条件によって異なります。
参考:Googleアカウントヘルプ「アカウント無効化管理ツールについて」
参考:Googleアカウントヘルプ「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」
困ったときの相談先と注意点

解約トラブルは消費生活センター
📞 故人のサブスク契約について、事業者に連絡しても手続きが進まないことがあります。
解約方法が分からない場合や、請求内容に納得できない場合は、消費生活センターへの相談を検討できます。
消費者ホットラインの電話番号は188です。
相談前には、次の資料を整理すると状況を説明しやすくなります。
- 📄 契約先の名称
- 💳 請求金額と請求された日
- 📩 事業者とのメールや問い合わせ記録
- 📅 契約者の死亡日
- 📝 これまでに行った解約手続き
- 💬 事業者から受けた説明内容
消費生活センターは、契約トラブルなどについて相談できる窓口です。
相談しただけで、解約が成立したり、請求が取り消されたりするわけではありません。
相続には期限がある
⚖️ デジタル資産の調査に時間がかかる場合は、相続に関する期限にも注意が必要です。
特に借金や未払債務が見つかった場合は、相続を承認するか放棄するかについて、早めに確認することが役立ちます。
代表的な期限は、次のとおりです。
- 📅 相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
- ⚖️ 相続放棄をする場合は家庭裁判所への申述が必要
- 📄 期間内に判断できない場合は、家庭裁判所へ期間伸長を申し立てる制度がある
- 💰 相続税の申告が必要な場合は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内
- 🏦 金融資産が見つからない場合も税務上の申告期限が自動的に延びるわけではない
サブスク契約の未払い料金があるからといって、相続放棄が必要と決まるわけではありません。
預金や有価証券などの資産、借金などの債務、これまでの財産処分の状況を整理したうえで判断する必要があります。
相続放棄については家庭裁判所の手続案内、相続税については税務署や税理士、相続関係の法律上の問題については弁護士など、内容に合う窓口へ確認してください。
まとめ:デジタル遺品問題

📱 デジタル遺品の問題は、スマートフォンやパソコンの中にある契約や資産が、家族から見えにくいことから発生します。
特に、サブスクの継続請求、ネット銀行や証券口座の発見遅れ、スマホのロック解除ができない問題には注意が必要です。
トラブルを防ぐために、まず確認したいのは次の項目です。
- ✅ 利用しているサブスクの一覧を作る
- ✅ ネット銀行や証券口座の存在を記録する
- ✅ コード決済や暗号資産の保有状況を整理する
- ✅ スマホのロックに備える方法を検討する
- ✅ パスワードなどの秘密情報を安全に管理する
- ✅ 死亡後に連絡する窓口を記録する
- ✅ 家族などが契約一覧の保管場所を分かるようにする
- ✅ 契約や財産の状況が変わったら情報を更新する
💡 デジタル終活では、すべてのパスワードを家族へ渡すことよりも、どこに契約や資産があり、誰がどのような手続きを行えばよいかを明確にすることが大切です。
まずは、現在支払っているサブスクを一つずつ確認し、サービス名、料金、問い合わせ先を記録してみてください。
その小さな準備が、将来の不要な出費や、家族が契約先を探し続ける負担を減らすことにつながります。
